•  187
    本稿は、記述の精密化によっても解消されない不確定性の形式的条件を与える。 入力記述写像と評価関係からなる評価構造を定め、値の排除のみを許す拡張の下で決定が成立しない状態を停止と定義する。 停止は支持集合族に対する Hall 条件の失敗として特徴付けられ、任意の許容精密化においても決定が回復しないことを示す。 したがって停止の解消は入力同一性の変更に限られる。 この結果から、不確定性には情報不足とは独立に同一性構造に由来する型が存在し、対象の成立条件は同一性を前提せず評価構造から特徴付けられる。
  •  155
    判定不能と推論体系の拡張不可能性
    Dissertation, Independent Researcher. 2026.
    本論は、推論が推論として成立するための最小条件を形式的に与え、そこから判断の限界と哲学の位置づけを導出する。入力集合 S 上の評価関係 ⊢₍M₎ に単一値性・二値完全性・モデル不変性を課すことで推論体系を定義する。これらは、同一対象について真偽を決定するための概念的条件である。 同一条件下のモデルが相反する値を与える入力を判定不能と定義すると、このときモデル不変性が破れ、体系は三条件を保ったまま拡張できないことが示される。さらに停止状態で可能な応答を網羅すると、値放棄・両値付与・未定義保持はいずれも推論の条件と両立しないため、推論を維持する唯一の可能性は排他的に規則変更(定義域の延長)に限られる。 したがって判定不能を含む体系では対象の真偽決定は内部で完結せず、推論の操作は対象の値の決定から判定可能性の条件の決定へと移動する。本論は、推論が自己保存のために必然的に成立条件の水準へ移行するときに生じる操作類型を哲学と呼ぶ。
  •  186
    誤り以前の領域:評価不能性の形式理論
    Dissertation, Independent Researcher. 2026.
    本論文は、記述の評価判定が成立するための形式的条件を与え、その不成立条件を示す。記述集合 Σ と出力集合 Δ の間に、同一性を与える写像 π と帰属内容を与える写像 ρ を定め、操作 O=ρ の π に関する降下可能性を考察する。評価関係 R は、π により同定される同一同値類に属する記述間の代替可能性を判定する関係として定義され、出力依存性、同値類依存性、および差異を識別する分離条件 ∀a,b∈Im(O) (a≠b ⇒ Ê(a,a)≠Ê(b,a)) を満たすものとする。 主定理は、O が π に関して降下しないとき、上記条件を同時に満たす評価関係が存在しないことを示す。したがって、同一同値類に属する記述に複数の帰属が与えられる場合、その同一性基準に基づく評価は定義できない。これは誤った評価が与えられることを意味せず、評価の定義条件自体が満たされないことを意味する。 本結果は、評価の不成立を対象や意味の不在としてではなく、同一性基準と帰属内容の不整合として理解するための形式的枠組みを与える。
  •  149
    分岐閉鎖を行為同定の条件として:説明の場合
    Dissertation, Independent Researcher. 2026.
    本論文は、発話が一つの行為として同定されるための条件を明示し、とりわけ「説明した」という発話に対して成立判定が適用されうる範囲を特定する。本論では成立を再指示可能性として扱い、成立/非成立の差異が同一の判定手続き内で再び開かれない状態を分岐閉鎖と呼ぶ。 本論は次の制約を示す。行為Aが成立した出来事として同定可能であるのは、Aに関する成立/非成立の分岐が同一判定枠内で閉鎖している場合に限る。したがって終結を主張する型の行為は閉鎖が成立しない限り成立判定不能となる。説明発話はこの型に属するため、説明は理解や正当化の成否とは独立に、分岐閉鎖が成立するときにのみ同一の行為として数えられる。本論は説明の評価条件を与えるものではなく、説明が行為として同定可能であるための必要条件を与える。
  •  167
    This paper gives a transcendental argument for a condition of performable denial. A denial must differ from what it rejects. If exclusion did not operate, the denial of exclusion would fail to count as a denial. The act therefore presupposes a contrast it cannot eliminate. The argument then asks what structural condition makes such contrast possible. A sequence without reidentification cannot sustain alternatives, and exclusion collapses. Eliminating resemblance, rules, causation, and relations …Read more
  •  175
    本論文は語彙「成立」の判定体系に対し、「成立した、ゆえにそれを成立させた必然的根拠がある」という推論規則が保存的拡張として導入可能かを検査する。成立判定は操作系列を入力とする判定写像として定式化され、同一入力に対する出力不変性を保存性の条件とする。成立判定の作動から、成立差異を与える条件は入力識別規則の内部で与えられなければならないことが導かれる(内部判別可能性)。しかし当該規則は判定結果に依存して条件を付加するため、成立差異を入力識別規則の内部に与えることができない。ゆえに成立語彙の判定体系はこの規則を保存的に含むことができない。本結果は必然性の否定ではなく、成立判定体系と必然性導入体系の体系分離を与える。
  •  174
    なぜが問いとなる条件:Why問いへの可定義性制約
    Dissertation, Independent Researcher. 2026.
    本論文は「なぜ P か」という形式の発話が問いとして成立する条件を理論的に定式化する。対象は理由・原因・説明の存在ではなく、発話が問いという行為類型に属するための構造的条件である。問いとは、入力記述のみに基づき応答の適否を一意に与える判定規則が定義可能である操作に限られる。本論はこの成立条件を形式的に与え、問いの定義域を制限する一般原理を提示する。 この原理のもとで、存在問題形式「なぜ何かが存在するのか rather than nothing」を検査する。当該操作は、判定規則の入力として与えられない対象への参照を要求するため、応答の適否を決定する規則を定義できない。したがってこの発話は偽でも無意味でもなく、問いという行為類型の定義域の外部に位置づけられる。 本結果は存在理由の不存在や不可知性を主張するものではない。導かれるのは、問いとして成立可能な操作と、構造上その定義域に属しえない操作との区別である。存在問題形式は後者に分類される。本論は意味論ではなく、言語操作の成立条件に関する制約理論を与える。